なぜそうなるか

海外の通販で買ったブランド品が偽物だったら?——税関は、偽物と知らなくても輸入はできず、個人で使う目的でも海外の事業者から送られた模倣品は取締りの対象だと答えていました

海外の通販サイトを見ていると、よく知られたブランドのバッグや財布が、国内の店よりずっと安い値段で並んでいることがあります。

届いた品物を手に取って、タグの縫い方やロゴの形に、どこか違和感を覚える人もいるでしょう。あるいは、荷物が届く前に、税関から見慣れない封書が届くこともあります。

偽物だと知らずに注文しただけなのに、何か問題になるのか。自分で使うつもりで1つ頼んだだけでも、扱いは同じなのか。そうした疑問は、買った側の立場からはなかなか答えが見つかりません。

税関の知的財産ホームページには、この疑問にそのまま答える形のQ&Aが置かれていました。偽物と知らなかった場合、数が少ない場合、個人で使う場合の3つが、別々の問いとして並んでいます。

そこで、財務省・税関の知的財産ホームページから、Q&A(税関の取締り)、侵害物品の取締りの概要、認定手続開始通知書を受け取った人向けの案内の3ページを読み、書かれている範囲を並べました。

特定のブランドや通販サイトを取り上げる記事ではありません。本物かどうかの見分け方や、買取での値段も扱いません。

この記事でわかること
・偽物と知らなくても、知的財産侵害物品と認定されれば輸入できない
・数量に関わらず、侵害が疑われる物品には認定手続が始まる
・令和4年10月1日から、海外の事業者が郵送等で送る模倣品は、個人使用目的でも輸入できなくなった
・侵害物品と認定された物品は、税関により没収・廃棄される
・侵害物品かどうかを、輸入の前に税関に判断してもらうことはできない

偽物だと知らずに買った物でも、税関で止められるの?

本物だと思って注文したのに、それでも輸入できないの?

税関は、偽物と知らなくても、知的財産侵害物品に当たると認定された場合は輸入できないと答えています。

税関の知的財産ホームページには「Q&A(税関の取締り)」というページがあり、7つの問いが並んでいます。その6つめが、知らなかった場合の扱いです。

偽物と知らなくても、知的財産侵害物品に該当すると認定された場合は輸入することはできません。

買った人が偽物だと知っていたかどうかは、輸入できるかどうかの分かれ目にはならない、という答え方です。

取締りの対象になる知的財産の種類も、同じページの2つめの問いが答えです。

取締りの対象となるのは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権又は育成者権を侵害する物品、及び不正競争防止法違反物品です

ブランドの名前やマークをまねた品物は、この中では商標権に関わるものです。税関のパンフレットのページも、侵害物品の例としてバッグ・財布・衣類・靴やスマホケースを挙げていました。

1つだけなら、対象から外れる?

5つめの問いは、少量の場合です。数が少ないことは、手続を始めない理由として挙がっていません。

税関で知的財産を侵害していると思料される物品が発見された場合には、数量に関わらず知的財産侵害物品に該当するか否かを認定するための認定手続が開始されます。

自分で使うだけなら、輸入してもいいの?

売るためではなく、自分で使うために1つ買っただけでも?

令和4年10月1日から、海外の事業者が郵送等で送る模倣品は、個人使用目的でも輸入できなくなりました。

7つめの問いが、個人使用目的の場合です。答えは、法律の改正の順番から始まります。

令和3年5月に改正された商標法・意匠法において、海外の事業者から郵送等で送付される模倣品(商標権又は意匠権に係るもの)が、商標権や意匠権を侵害する物品に該当することとなりました。

その結果として、税関の取締りの範囲が広がったと続きます。

これを受けて関税法が改正され、このような模倣品が令和4年10月1日から税関の取締りの対象となりました。

そして、個人使用目的で買う人にとっての結論が、次の一文です。

これにより、個人使用目的で輸入しようとする場合であっても、通販サイトなどで購入した模倣品(商標権又は意匠権に係るもの)が海外の事業者から送付される場合には、輸入できなくなりました。

対象として書かれているのは「海外の事業者から送付される」模倣品です。この答えの末尾には、根拠として関税法第69条の11第1項第9号の2が示されていました。

買う前に、税関で本物かどうか見てもらえる?

4つめの問いは、輸入の前にサンプルを見せて判断してもらえるか、というものです。税関の答えは、それはできないというものでした。

知的財産侵害物品に該当するか否かの判断は事前にお答えできる性質のものではありません。

理由として、真正品と差がなくても侵害物品になる場合があり、逆に明らかな模倣品でも権利者の許諾があれば侵害物品にならない、と説明されています。判断は、輸入申告された現物について、権利者と輸入者の双方の意見・証拠に基づいて行うという書き方です。

税関で止められたら、どうなるの?

税関から通知書が届いたら、何が始まっているの?

税関は、侵害が疑われる物品が侵害物品に当たるかどうかを認定する「認定手続」を始め、その開始を通知書で知らせます。

「認定手続開始通知書を受け取ったら」というページは、通知書の意味をこう書いています。

今回あなたに送付した通知書は、この認定手続を開始することを通知するものです。

同じページに挙がる通知書の種類は4つです。輸入者用と名宛人用があり、それぞれに「輸入者等意思確認」の付くものと付かないものがあります。通知書の右上にある税関様式の番号で見分け、該当する案内に進む作りでした。

侵害物品と認定された品物は、手元に戻る?

「侵害物品の取締りの概要」のページには、認定された物品の行き先も載っています。侵害物品と認定された品物は、没収・廃棄されると書かれていました。

知的財産侵害物品は税関により没収、廃棄されます。

罰則についての記載も、同じページにあります。

知的財産侵害物品を外国に持ち出そうとした場合や国内に持ち込もうとした場合には、関税法第108条の4又は第109 条により処罰されることがあります。

罰則の重さとして、10年以下の拘禁もしくは1000万円以下の罰金、またはその併科です。個人で1つ買った人にこの罰則がどう当てはまるかは、このページには書かれておらず、この記事でも判断していません。

手元にある本物のブランド品を売るときの税の扱いは、ブランド品を売ったときの税を国税庁の案内から整理した記事にまとめました。

この記事で確認したこと

偽物のブランド品と税関の取締り
・偽物と知らなくても、侵害物品と認定されれば輸入できない(Q&A 税関の取締り Q-6)
・数量に関わらず、侵害が疑われる物品には認定手続が始まる(同 Q-5)
・海外の事業者が郵送等で送る模倣品は、令和4年10月1日から個人使用目的でも輸入できない(同 Q-7)
・輸入の前に、侵害物品かどうかを税関に判断してもらうことはできない(同 Q-4)
・侵害物品と認定された物品は、税関により没収・廃棄される(侵害物品の取締りの概要)

安さに惹かれて海外の通販で注文する前に、その品物が本物である根拠を、売る側の説明で確かめてください。税関から通知書が届いたときは、右上の様式番号を見て、税関の案内ページで次の手続を確かめるのが先です。

よくある質問

海外旅行先で自分用に買った物も、同じ扱いですか

この記事で読んだQ-7は、「海外の事業者から送付される」模倣品について答えています。旅行先で買って自分で持ち帰る場合の扱いは、このQ&Aには書かれていません。税関のパンフレットのページは、海外旅行で偽物の被害に遭わないよう注意を呼びかけています。

税関から通知書が届きました。まず何をすればいいですか

「認定手続開始通知書を受け取ったら」のページは、通知書の右上にある税関様式の番号か標題で、4種類のどれかを選んで今後の手続を確認するよう案内しています。書かれている期限や手続は通知書ごとに違うので、届いた通知書とそのページを突き合わせてください。

本物だと証明できれば、返してもらえますか

Q-4 は、侵害物品かどうかを、輸入申告された現物について、権利者と輸入者の双方の意見・証拠に基づいて判断すると説明しています。個々の品物がどう判断されるかは、この記事では扱っていません。

この整理が変わる条件


出典

海外の通販で注文する前に売る側の説明で本物の根拠を確かめ、通知書が届いたら様式番号から税関の案内を開いてください。

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